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発明の効果とは何か

三谷拓也 | 2025/02/23

発明の効果の感じ方


発明とは、既存の技術(従来技術)に新しい工夫を加えて再構成することで物理的な変化を生じさせ、それによって特有の効果を生み出すものです。

・発明=既存技術×新規構成→物理的変化→効果

発明の効果とは、究極的には、その発明を利用する人が感じるものです。
利用者は、発明を利用したときに心が動かされると「この発明には効果がある」と認識します。

心を動かす量が大きいほど、発明の効果は大きいということになります。


発明の効果には、大きく分けて次の2種類があります。
(1)不満や不安を解消する効果(マイナスの削減)
(2)楽しさや快適さを生み出す効果(プラスの増加)

以下、(1)のタイプを課題解決型、(2)のタイプの効果を魅力提案型とよぶことにします。

課題解決型の発明の特徴


ほとんどの発明は「課題解決型」です。

課題解決型の発明は、利用者が抱えている不満や不安を軽減することで価値を生み出す発明です。

典型的な不満・不安は、
・電力消費が大きい
・製品のサイズが大きい
・製品が重たい
・処理速度が遅い
・精度が低い
・生産効率が悪い
・使いにくい
・うるさい
・危険
・・・などです。

こういった不満や不安を発明が解決してくれると、「この発明には効果がある」ということになります。

問題解決型発明の効果は、次の2つの要因で決まります。
(1)不満・不安を抱えている人の多さ
(2)不満・不安を解消する効果の大きさ

多くの人が共通して抱えている不満・不安を大幅にやわらげてくれる発明は効果が高いということになります。

たとえば、多くの人は、二次電池について「充電に時間がかかる」という不満を持っています。
二次電池を一瞬で充電してしまう発明があれば、発明としての効果は非常に高いということになります。

魅力提案型の発明の特徴


発明の効果は「不満・不安を減らす」だけではありません。
「楽しい」「気持ちいい」「美しい」「おもしろい」といったポジティブな感情を生み出すという効果もあります。

脳の報酬系が活性化されると、人間は楽しい、気持ちいい、といったポジティブな感情を持ちます。

魅力提案型の発明は、利用者にポジティブな感情を持たせることで価値を生み出す発明です。

たとえば、
・目標(ミッション)を達成する
・何かを集める(コレクション)
・育てる/成長する
・驚かされる(意外性)
・複雑なものを整理する
・褒められる、認められる
・競争に勝つ、優位に立つ
・・・などです。

コンピュータ・ゲームの発明は、脳の報酬系の仕組みを取り入れることで「特有の効果」を発揮するテクノロジーです。
ゲーム以外の製品にも、ゲームのような「楽しい」要素を取り入れることでユーザ体験を向上させることができます(ゲーミフィケーション)。

効果から発明を生み出すことができます。

発明で実現したい効果を設定し、効果を実現するために必要な新規構成を考えれば、発明が生まれます。

発明の効果は発明の価値


発明の効果は、利用者が感じる価値そのものです。

・発明の効果=発明の価値

前提技術を再構成し、物理的な変化を生じさせることで新たな価値を生み出します。
発明を使って心が動かされるほど、発明の価値は高まります。

参考:「技術のレベルとハードル」「アイディアの出し方(3)