とはいえ「ルールをわかりやすく説明する」のはとても難しい。
特許出願をしたあと、どんな流れで特許査定(特許取得)にたどり着けるのかを簡単に説明してみます。
特許取得までの手続きは、
(1)特許出願
(2)出願審査請求
(3)拒絶理由通知対応(一般的には「中間処理」とよばれます)
の3つが基本です。
(1)と(2)は出願人が手続きの時期をコントロールできますが(3)は(あまり)コントロールできません。
(2)と(3)の手続きには期限があります。
(3)の手続きは0回のこともあれば数回のこともありますが、だいたい1回です。
(1)特許出願
弁理士に発明を説明します。
画面写真、回路図、実物、グラフ、プレゼン資料などの素材を提供し、弁理士に発明、特に、発明の目的とメカニズムをきちんと理解してもらうことが一番大事なことです。
弁理士は、もらった素材に基づいて特許出願書類を作ります。クライアントに原稿を確認してもらった上で正式に特許出願します。
特許事務所にある出願端末(PC)から特許庁のシステムに特許出願書類一式のデータを送信することで特許出願が完了します。
特許出願の合計手続費用は、数十万円(発明による)くらいです。
依頼から1,2ヶ月後に特許出願完了というのが一般的なスケジュールです。
急ぐときには、1ヶ月以内、1週間以内に出願完了することもあります。本当に急ぐときには半日(午前中に話を聞いて午後に特許出願)ということもありましたが、こういうのは超例外です。
特許出願は特許審査の仮予約です。
特許出願しただけでは審査はしてもらえません。
(2)出願審査請求
特許出願から3年以内に「出願審査請求」という手続きをします。
出願審査請求は、特許出願と同時にしてもいいですし、期限ギリギリでもいいです。3年以内ならいつでもできますが、3年経過してしまうと特許出願は取り下げ(予約のキャンセル)となります。
出願審査請求期限が近づくと、特許事務所からクライアントにお知らせをします。
出願審査請求の合計手続費用は、20万円前後(発明による)くらいです。
出願審査請求は特許審査の本予約(正式なエントリー)です。
特許庁は、おおむね出願審査請求がなされた順に特許出願を審査します。
早く特許権が欲しいなら出願審査請求を早めに行い、ゆっくりでいいなら遅く行うことで特許権取得や特許関連出費のタイミングをある程度調整できます。
(3)中間処理
出願審査請求後、しばらくすると(平均で10ヶ月くらいといわれています)、かなりの高確率で特許庁(審査官)から拒絶理由通知が来ます。
拒絶理由通知は、特許査定にはできないという予告です。
拒絶理由通知自体は深刻なものではありません。審査官との交渉開始となります。
一番多いパターンとして、意見書(反論や説明)と補正書(権利範囲の修正)とよばれる書類を提出することで対応します。
応答期間は、通常、拒絶理由通知を受けてから60日以内です。
中間処理の合計手続費用はバラバラですが、報酬と検討時間はだいたい比例します。
特許査定
拒絶理由通知への対応に成功すれば特許査定となります。
登録料(数万円程度)を納付すると特許権が成立し、特許庁の登録原簿(不動産でいえば登記簿のようなもの)に登録されます。
また、特許登録になると特許公報がインターネットで公開されます。
特許公報により、「誰がどんな特許権を持っているか」が周知されます。
賞状のような特許証ももらえます。
拒絶査定
拒絶理由通知への対応がうまくいかなかったとき、つまり、審査官が納得しなかったときには拒絶査定となります。
拒絶査定になっても諦めきれないときには拒絶査定不服審判を請求できます。
また、別ルートとして、拒絶査定のあとに分割出願をすれば、少し方向性(作戦)を変えた上で再チャレンジをすることもできます。
参考:「特許をめぐる番号」